浪速風

コピー紙すり替え…お粗末すぎる「消えた名画」

記者になってまもなくの昭和51(1976)年、大事件に遭遇した。43年に京都国立近代美術館で開催された「ロートレック展」から盗まれた女性の肖像画「マルセル」が発見されたのだ。当時の評価で3500万円という、わが国最大の美術品盗難事件で、当直だった守衛が自殺する悲劇もあった。

▶すでに窃盗罪の公訴時効が成立しており、名画は戻ったが、真相は解明できなかった。神奈川県が所有する板画家、棟方志功の「宇宙讃(神奈雅和の柵)」がカラーコピーにすり替えられていた。不可解なのは約3年前に「レプリカでは」と指摘されたのに、被害届を出さず、放置していたことだ。

▶新米記者が取材してわかったのは、美術品には裏の市場があり、盗難品は闇に消えてしまう。コレクターに渡ったら、密かに所蔵されるだろう。いつ盗まれたかわからないが、空白の3年は捜査を困難にする。300万円で購入した県民の財産である。関係者の意識が低すぎる。

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