話の肖像画

前衛芸術家・篠原有司男(2) モヒカンでメディアの寵児に

 授業ではデッサンばかりしていておもしろくないから大学には行かず、恋愛して酒ばかり飲んでいた。アカデミックな授業に嫌気がさしていた。出席日数が足りないとか、単位がとれていないとかでしばしば呼び出され、落第もした。卒業間近になると単位不足で教授会に呼ばれ、「何か描けば卒業させる。何でもいいから絵をもってこい」と言われてしまった。男の顔でも描けばよかったのに、ラジオから流れるマンボを聴きながら、スケッチブックに鉛筆やボールペンで、エイヤーって傷つけたわけ。そこには点や線の痕跡があるだけ。モチーフも何もない。それを1冊持っていったら採点官が一枚一枚めくってみて、冗談だと思ったんだろうね。「君の絵には嘘がない。でも学校はやめなさい」と言われて退学になった。その言葉はアメリカで貧乏生活をしていたときの支えになった。