浪速風

北のミサイルは「火星人来襲」か

1938年10月30日の夜だった。米CBSラジオは突然、番組を中断して臨時ニュースを流した。火星人が来襲して、攻撃されているというのだ。H・G・ウェルズの「宇宙戦争」をドラマ化したものだが、鬼才オーソン・ウェルズの演出は真に迫っており、全米をパニックに陥れた。

▶北朝鮮からミサイルが飛んできたら、どんな事態になるのだろう。政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)の整備を進め、3月には秋田県男鹿市で避難訓練が行われた。発射3分後には住民に緊急メールが届き、サイレンが鳴り響いた。訓練だから冷静に行動できたが、もし本当なら。

▶飛来するミサイルを防衛システムがすべて撃ち落とせるとは限らない。パニックになるのか、それとも「正常性バイアス」が働いて深刻に受け止めず、避難しないだろうか。そもそもどこへ逃げたらいいのか。「今そこにある危機」は、米国まかせで貪(むさぼ)ってきた泰平の眠りを覚ます火星人だ。