東京ディズニーリゾート(TDR)などを運営するオリエンタルランド(千葉県浦安市)が、北杜市大泉町西井出の農地にトマトなどを溶液栽培する直営農場「北杜農園」を建設する。現地で17日、起工式が行われた。人気テーマパークの食材を供給する拠点進出を地元は歓迎。同市は「オリエンタルランドの情報発信力に期待したい」としている。
北杜農園は約3ヘクタール。ハウス2棟(計約2万700平方メートル)を建設し、完成後の来年1月以降にトマト、ミニトマト、パプリカの3種類の野菜の生産を始める。4月ごろの初収穫を目指している。土を使わずに養分の水溶液で野菜を育てる溶液栽培で、年間約250トンの収穫を見込む。TDRや併設のホテルなどの飲食店に供給する計画だ。
生産から収穫、選果、出荷までの工程をオリエンタルランドが行う。社員1人、嘱託社員2人を派遣するほか、十数人のパート従業員を現地採用する。同社は「微力ながら地域貢献をさせていただきたい」としている。
同社はこれまで千葉県袖ケ浦市でトマト類を、北海道弟子屈町でイチゴを栽培してきた。野菜の自社生産を増やして自社施設に安定供給しようと、約1年半かけて場所を探し続けた。日照時間が長く寒暖差が大きいことが栽培に適しているとして北杜に決定した。
今後の展開は「北杜市での取り組みの状況を見て判断する」(オリエンタルランド)という。
同社の吉田謙次フード本部長は「全て自社で行うことにより、物流や配送などの効率化を図る。より安全性を高めた食品を提供していきたい」と意気込む。
北杜市商工食農課の小沢隆二課長は「ディズニーリゾート内の飲食施設で北杜市の農産物を使ったイベントを開催してもらうよう働きかけるなど、結びつきを強めていきたい」と期待感を示している。