浪速風

忘れてはいけない教訓

池波正太郎さんは戦国時代の城攻めを描いた「忍びの旗」で、甲賀忍者の上田源五郎にこう言わせた。「あの城は、大坂の城よりも堅固に築かれている。わしがもし、双方の城を攻めるとして…大坂城なれば、何とか攻め落とす手段があるようにおもうが、熊本城は攻めきれぬ」

▶「不落の名城」はマグニチュード(M)6・5、さらに28時間後のM7・3の激しい揺れに、石垣が崩れながらも一本足で踏ん張った。天守閣の屋根瓦が落ちたままの復旧途上の姿から感じるのは「まだ1年」である。関連死を含め220人が犠牲になった熊本地震は、多くの教訓を残した。

▶避難しての車中泊で、エコノミークラス症候群によって亡くなる人が相次いだ。支援物資が行き渡らなかったのも反省材料である。何より、本震が後からやって来たのを忘れてはいけない。寺田寅彦の警句を引く。「きのうあった事はきょうあり、きょうあった事はまたあすもありうるであろう」