米国のコンビニで甘くない飲み物を見つけるのは一苦労だ。これなら大丈夫だろうと「カロリーゼロ」と表示された緑茶を買って口に含んだ途端、お茶の味を打ち消すほど大量に入れられた人工甘味料の甘さに閉口したこともある。全米桜祭りにあわせて日本からワインボトル入りの高級宇治茶が届くと聞き、米国人に受け入れられるか興味津々で会場に出かけてみた。
ワイングラスの冷茶からはしっかりと茶葉の香りが広がり、口に含むと碾茶の特徴であるほのかなうま味を感じる。米国人から感想を聞かれ、「昆布茶のようなうま味が…」と言いかけて止めた。味覚に関する語彙力のなさがばれるし、米国には「コンブチャ」という紅茶キノコがあってややこしいからだ。
JA京都やましろが商品を手がけたのは、若者の茶離れがきっかけだったという。一方で酒を飲まない若者も増えていることに着目し、宴席で楽しめる高級茶を開発した。酒は飲まないという英語講師、ジェニファー・スワンソンさんは「緑茶のシャンパンみたい。米国人にも受け入れられるはず」という。
ゆっくり味わうお茶というアイデアは、飲み過ぎを後悔して節酒中の記者にはうれしい。もっとも、1本5000円以上する高級茶にふさわしい人間になれるかが課題だ。(加納宏幸)