東芝危機

財務悪化で受注制限なら売上額1兆円減か

 経営再建中の東芝が、米原子力事業の損失に伴う財務の悪化で、発電やビル設備などの大規模な工事に必要な「特定建設業」の認可を更新できず、1兆円規模の売り上げを失う恐れがあることが12日、分かった。東京電力福島第1原子力発電所で手がける廃炉事業への影響も懸念される。

 建設業法では、4千万円以上の下請け契約を必要とする大規模工事を手がけるには、特定建設業の許可が必要と定められ、財務的な条件が課される。具体的には、負債が資産を上回る債務超過の場合、債務超過額が資本金の20%を超えないことなどがある。東芝の資本金は2千億円で、400億円の債務超過までなら許容される。

 だが、東芝は米原子力子会社の破産処理で、平成29年3月末に6200億円の債務超過になる見通し。半導体メモリー事業を分社して設立した「東芝メモリ」を売却して損失を穴埋めする計画だが、特定建設業の認可更新期である12月には間に合わない公算だ。

 このため、エネルギーや社会インフラの一部事業を継続できなくなる恐れがある。東芝の29年3月末の売上高は約5兆5千億円の見通しで、認可が更新できず受注が制限されれば影響は甚大だ。

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