タンデム自転車で琵琶湖一周を 滋賀県、解禁提案へ

複数人が同時に乗れる「タンデム自転車」(紀洋産業提供)
複数人が同時に乗れる「タンデム自転車」(紀洋産業提供)

 複数人で同時に運転できる「タンデム自転車」の公道走行の解禁に向けて、滋賀県などが検討を進めている。視覚障害者も後部座席で気軽に運転できることなどから、解禁によって琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」をより多くの人に楽しんでもらうためだ。今年度中に安全性を確認するモデル走行を行い、県公安委員会に規則の緩和を提案する方針。

 タンデム自転車は、2つ以上の乗車装置、ペダルが縦列に設けられた自転車。複数人で1台の自転車の運転が楽しめる一方で、車体が長いため操縦が難しく、複数人でこぐためスピードが速いなど、安全面での配慮も求められている。

 県公安委の規則では、運転可能な場所は「自転車専用道路」と定められているが、県内には自転車専用道路がなく、実質公道では運転が不可能。

 しかし、視覚障害者も気軽にサイクリングを楽しめることなどから、全国では解禁の動きが広がっており、「タンデム自転車交流協会」(東京都)によると現在、京都府や兵庫県、大阪府など十数府県の公道で運転できるという。

 ビワイチをてこに、官民で自転車文化の発信地を目指す取り組みを進めている滋賀県内でも、愛好家や視覚障害者らから解禁を望む声が上がっている。昨年7月と11月には、県や県警の担当者が集まって、他県の状況や県内での解禁の可能性について意見交換した。

 こうした状況を踏まえ、県は今年度予算にタンデム自転車の利用研究費用として300万円を計上。早ければ6月にも他の関連団体と連携して、タンデム自転車のモデル走行を実施する。安全性を確認した上で、県公安委にタンデム自転車が公道で走行できるよう、規則の緩和を提案する方針だ。

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