浪速風

現代の「花神」が教えてくれた

造幣局で桜の通り抜け始まる 大勢の来場者で賑わう桜の通り抜け =11日午前、大阪市北区(永田直也撮影)
造幣局で桜の通り抜け始まる 大勢の来場者で賑わう桜の通り抜け =11日午前、大阪市北区(永田直也撮影)

大阪では花見を二度楽しめる。造幣局の桜の通り抜けである。津藩主藤堂家の蔵屋敷の桜を構内に移し、一般に開放した。「煙の都」の煤煙(ばいえん)で傷み、戦災の火の粉に焼かれたが、明治からの春の風物詩を局員が守ってきた。今年も134品種350本が咲きそろって、17日まで。

▶開花が遅かったせいか、大川沿いのソメイヨシノもまだ見ごろだ。例年なら時期がずれる造幣局の桜との競演は珍しい。「大阪を元気に」と、建築家の安藤忠雄さんの提案で募金を集め、それまでの桜並木に加えて3千本を植樹した。「平成の通り抜け」は新たな名所である。

▶安藤さんは阪神大震災でも、被災地にモクレンやコブシの苗木を植える運動を提唱した。毎年咲く花は、人の心をつなぎ、希望を与える。中国では野山に花を咲かせる「花神」がいるという。以前、自らの建築を案内してくれた道すがら、現代の花神はさりげなくゴミを拾った。美観を守る心がまえを教えてくれた。