話の肖像画

中国人風刺漫画家・辣椒(2) 少年時代に見た理不尽さが原動力

 最初に描いた風刺マンガの題材は、北朝鮮の金正日氏でした。核実験を実施して周辺国を脅し、支援を手に入れようとする金氏の姿を、サングラスをかけたヤクザ風に書いてネットに載せたところ広く転載され、その反響の大きさにびっくりしました。中国で政治風刺マンガを書く人はほとんどいないため、私はすぐにネット上で有名人になりました。

 それから、汚職疑惑がかけられていた国有企業の幹部を風刺するマンガなどを次々と描きました。貧富の差や人権侵害など中国の諸問題を作ったのは共産党一党独裁体制です。だから私はやがて、みんなの期待に応える形で、胡錦濤氏、習近平氏など中国の指導者を揶揄(やゆ)する作品を描くようになりました。警察に目をつけられたのはその直後でした。

 〈作品はインターネット上で注目されたが、ブログや微博(中国版ツイッター)のIDは頻繁に当局によって閉鎖された〉

 私の微博は最大時100万人近くのフォロワーがいました。微博のIDが閉鎖されることもしょっちゅうありました。また新しいIDを申請すると、フォロワーたちもすぐに新しいIDのところに集まります。その繰り返しでした。もともと自分でつけたペンネームは「変態辣椒」でした。中国語で「とても辛いトウガラシ」という意味で、自分の作品が辛口であることを強調しようとしたのですが、日本に来てからは「変態」という言葉が誤解を与えることもあるので、「辣椒」という名前で活動するようになりました。(聞き手 矢板明夫)

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