解答乱麻

新たなスタートきる人たちへ ジャーナリスト・細川珠生

 私が理事を務める千葉工業大学の入学式が今月1日にあり、同日開所となった同大の「次世代海洋資源研究センター」所長、加藤泰浩東京大学教授が新入生に向け記念講演を行った。加藤氏は、次世代の資源として世界の注目を集めるレアアース(希土類)研究の第一人者であり、広大な太平洋に堆積していることを発見した人である。

 レアアースは電子機器などの省エネに貢献し、小型軽量化が可能となる原料である。中国が世界の9割以上を採掘しているが、日本の南鳥島付近の海底にあるレアアースは、中国のおよそ50倍の濃度といわれ、この活用は日本の成長産業に十分貢献することになる。このような物質の研究に携わる先輩研究者からの体験やアドバイスを直接聞くことができるのは、工学系大学に入学し、未知の研究分野に希望あふれる新入生には、刺激的な機会となるであろう。

 昨年度の入学式では、世界初の宇宙からの流星観測カメラ「メテオ」を米航空宇宙局(NASA)などとの共同プロジェクトとして打ち上げた千葉工大惑星探査研究センターの荒井朋子上席研究員が講演を行った。

 どちらも新入生ではない私にも大いに参考になる、刺激ある話だった。ご本人の意図はその通りではないかもしれないが、両氏とも研究者を目指した最初のきっかけは、至極純粋なものであったと推察した。

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