【話の肖像画】中国人風刺漫画家・辣椒(1) 帰国したら逮捕されていた(2/3ページ) - 産経ニュース

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中国人風刺漫画家・辣椒(1) 帰国したら逮捕されていた

 今から思えば、あのとき日本に残るという選択をしたことは正しかった。その後、習近平政権は締め付けをますます強化し、北京や上海の友人の多くが逮捕されました。私が帰国していれば、今は間違いなく刑務所の中にいたでしょうね。助けてくれた日本政府と友人たちに心から感謝しています。

 〈母親の死に目にあえなかったことが最もつらかったという〉

 今もマンガを描き続けています。日本の雑誌だけではなく、欧米など海外で発行される中国語の雑誌やネットなどで複数の連載を持っています。中国国内と違って、何を描いても検閲を受けたり、ネットから削除されることはないので、創作者としての自由を満喫しています。

 しかし、悲しいこともあります。中国に残した家族や友人などが政府の監視対象になっていることです。私と連絡を取っただけで、2カ月も尾行された後、職場に警察官が乗り込んできて「辣椒と付き合うな」と言われた友人もいました。肉親に会えないことはもっとつらい。実は昨年5月、母親ががんで亡くなりました。母親が入院したとき、当局に捕まってもいいから中国に帰ろうとしたのですが、病床の母から「絶対に帰ってくるな」と電話で言われて…。いとこが母親の葬式の一部始終を携帯電話で実況中継してくれました。東京でそれを見て泣き続けました。(聞き手 矢板明夫)