最高裁判事に林景一氏就任 「新たな分野で大きな挑戦」

 前駐英大使の林景一氏(66)が10日、最高裁判事に就任し、「新たな分野での非常に大きな挑戦。誠心誠意尽くして取り組みたい」と抱負を語った。「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案については「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は早く締結できればいいと思っているが、そのための国内法がどうあるべきかについては意見は控えたい」と述べた。

 1974(昭和49)年に外務省入省。旧ソ連のモスクワで勤務していた86年4月、チェルノブイリ原発事故が発生する。子供用ミルクへの影響を心配する在留邦人から、大使館に問い合わせが相次いだ。スウェーデンの首都ストックホルムで市場などを回ってミルク200リットルを確保。モスクワに持ち帰って、列を作る母親たちに配布した。2015年には駐英大使としてウィリアム王子の福島県訪問に同行。東京電力福島第1原発事故の影響が残る中、県産の食材を王子がおいしそうに食べる姿は「風評被害への大きな対策になった」と振り返る。

 「一期一会」という言葉を胸に「一瞬一瞬を大事にするため、誠意を尽くして相手に接してきた」。外交官から憲法の番人への転身に「全力で職責を全うしたい」と表情を引き締めた。(滝口亜希)

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