ビジネスの裏側

発明で損してる関西企業に支援拠点 特許庁が審査員派遣

 ただ、支援拠点の設置で、知財への関心が高まるかどうかは不透明だ。

 特許庁によると、27年の出願件数(日本人出願者)は、全国約25万8千件のうち、東京都の出願者が約13万2千件と半分程度。大阪府は約3万3千件と東京の4分の1の水準にとどまる。

 府内の中小部品メーカー幹部は「知財は目先の利益につながらないので、関西の中小企業の経営者は投資意欲が低い」と指摘する。

産学連携にも期待

 知財戦略が不十分だと、模倣品被害などで権利が主張できずに泣き寝入りすることにもなりかねない。特許庁は、知財戦略を後押しするため、近畿統括本部に多くの関西企業に訪れてもらおうと躍起だ。

 本部では、審査官の派遣以外にも、海外の知財問題にも通じた弁護士ら専門家4人程度を常駐させる取り組みを実施。開室時間中、企業や大学などからの出願手続きの相談に対して、助言するという。

 さらに、認知度を高めるため、大阪商工会議所や関西経済連合会などと連携し、知財戦略やビジネスマッチングをテーマにしたセミナーの開催を検討する。大商の宮城勉専務理事は「近畿統括本部を産学連携などを促進する中心地として盛り上げたい」と話す。

 新拠点が知財戦略の支援を通して、関西経済を飛躍的に伸ばせるかどうか、今後の動向が注目される。

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