花形出番です

父と融合し九代目襲名 歌舞伎俳優・坂東亀三郎(40)(1)

歌舞伎俳優・坂東亀三郎さん(菊本和人撮影)
歌舞伎俳優・坂東亀三郎さん(菊本和人撮影)

 東京・歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」で九代目坂東彦三郎を襲名します。今は平常心を心がけていますが、襲名は大きく変わるから大変なのであって、私にとってゴールではなくスタートです。

 今回は、父・八代目坂東彦三郎と私が融合して九代目彦三郎を作り、(父が襲名する)初代坂東楽善(らくぜん)が切り離される公演だと思っています。ですから父の思いと経験を、自分の体に落とし込みたい。

 昼の部の襲名狂言「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」の梶原平三役は、祖父(人間国宝だった十七代目市村羽左衛門(うざえもん))が得意とし、型もあります。心理描写より様式美を重んじる演出です。課題は舞台の真ん中に立って、メインの歯車として、芝居を見せるということ。舞台上に父や弟(同時に三代目坂東亀蔵を襲名する亀寿(かめとし))、菊五郎劇団のみなさんもそろい、心強いですね。

 夜の部は、歌舞伎らしい祝祭劇「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」の曽我五郎役に初挑戦します。「ザ・荒事」のようなお役で、昼夜とも直球のお芝居で芯に立てることが、とてもうれしいです。

 今公演は七代目尾上梅幸(おのえばいこう)のおじさまと、祖父の追善でもあります。私が昭和57年、亀三郎を名乗って「淀君情史」の亀丸役で初舞台を踏んだとき、舞台にいらっしゃったのもこのお二人。来月、長男(坂東侑汰(ゆうた))が六代目坂東亀三郎として「寿曽我対面」の亀丸役で初舞台を踏むのですが、お二人が倅をお見守りくださる中で、運命的なものを感じますね。(談)