政府は今回の会合で、RCEPに高水準の自由化を盛り込む方向でASEAN10カ国と足並みをそろえた。貿易ルールのアジア標準作りで中国と主導権争いが続く中、一歩リードした形だ。呼び水となったのは貿易・投資の円滑化につながる経済協力。質の高い貿易ルールがASEANの利益となるよう受け入れ態勢の整備を支援する。
「RCEPを早期にまとめたいASEANと、質の高い合意を追求する日本の考えを両立できた」
世耕弘成経済産業相は8日の共同記者会見で会合の成果を強調し、RCEPを新たな地域連携のモデルにしたいとの意向を示した。
政府は今後、中小零細企業の海外展開や新産業創出の支援、電子商取引や知的財産の保護といった貿易ルールの構築などでASEANに日本のノウハウを提供する経済協力を検討する。
ASEAN各国の多くは貿易円滑化の制度整備が遅れており、日本が求める高水準の自由化や透明性が高い貿易ルールの導入に及び腰だった。政府は経済協力を通じて各国の体制づくりを側面支援し、RCEP交渉でも共闘態勢を築く。
ASEAN設立50年の今年は、「年末までにRCEPの実質的なまとめを終えたい」(フィリピンのラモン・ロペス貿易産業相)と合意機運が高まっている。