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【ニューデリー=岩田智雄】インドの最高裁が、全国の主要国道・州道から500メートル以内での酒の販売を原則的に禁止し、レストランやホテル業界に不満が広がっている。飲酒運転の事故多発を受けた措置だが、業界は多くの失業者を生むと反発している。
最高裁は昨年12月、こうした地域での酒の販売を今年4月1日以降禁止すると命じ、具体的な説明として3月31日、酒店だけでなく、レストランやホテルでの販売も禁止に含まれるとの判断を示した。
該当店では、翌日からビールやウイスキーを提供できなくなり、インド飲食店協会のリヤアズ・アムラニ会長は地元紙エコノミック・タイムズに、今回の決定による失業者が全国で100万人に上る可能性があると述べた。PTI通信によれば、商業都市ムンバイを抱えるマハラシュトラ州では、酒の販売免許約2万5500件のうち約1万5700件が影響を受け、経済的な損失は州内だけで700億ルピー(約1200億円)に上るとの推計もある。税収も大きく減少しそうだ。
首都ニューデリー近郊ハリヤナ州の州都チャンディガルでは3日、ホテル経営者らが最高裁に再審理を求めるデモを行った。日本人が多く住む州内グルガオンにある商業施設「サイバーハブ」の飲食店従業員は「客は9割減だ」と弱り顔で話した。
インドの一昨年の交通死者は約14万6000人で、6700人余が飲酒運転によるものだった。