さらに、イルカを突破口として、あらゆる動物に保護の矛先が向くのではないかとする懸念も噴出。関係者によると、JAZAの決定後も、反捕鯨団体を中心とした動物愛護団体からのサイバー攻撃に苦しめられている加盟施設もあるという。
退会を決めた蒲郡市竹島水族館(愛知県)の関係者は「イルカを飼育していないのにサイバー攻撃を受けた施設もあるという。JAZAに加盟するメリットはない」と言い切る。
一方、イルカの安定的な入手には、和歌山県太地町などで実施の追い込み漁は欠かせないとの声もある。
JAZAが示した繁殖には、一定の技術力が求められるほか、妊娠したイルカを保護するため専用の施設が必要になる。関係者は「施設間でイルカを融通しあうのも限界がある。今後、漁からの入手に踏み切らざるを得ない施設は一定程度あるのではないか」とみている。
さらに施設での繁殖だけになれば、遺伝的多様性が失われるとの危惧もある。
退会した新江ノ島水族館は繁殖に半世紀にわたり力を入れ、数世代目のイルカもいるという。その上で退会を選択した理由について担当者は「将来の繁殖に際し、太地など外部からの新たな個体の入手が必要だと判断した」と説明する。