アート 美

「雪村 奇想の誕生」展 戦乱の世に愛らしい絵を描き続けた謎の画僧 尾形光琳も私淑

 東国の武将に庇護(ひご)を受け作画に励んだ雪村。戦乱の世に、こんな無邪気な絵を描いていたことが驚きだ。生きることが大変な時代だったからこそ求められたのだろうか。

 やはり雪村は突き抜けていた。(渋沢和彦)

 ■ほれ込んだ光琳

 後生の画家に大きな影響を与えた雪村。江戸時代を代表する琳派の絵師、尾形光琳も彼の作品に魅了された一人だ。本展で展示された光琳の「渓橋高逸図」は、手本とされる雪村画を模写。濃淡で表現された崖や木々など、卓越した光琳の技で隅々まで巧みに写しとっている。

 雪村に私淑して、いくつもの作品を模写した光琳。その作品は、計算し尽くしたデザイン性の強いイメージがあるが、墨でさらりと描いた「馬上布袋図」などもある。両手を大きく広げて馬に乗る布袋はにこやかな表情で子供のように無邪気。伸び伸びとした筆致でユーモアたっぷりの描写は、雪村の影響とみられている。光琳は雪村の画印まで持っていた。自分で彫ったのか、どこからか入手したかは定かではない。そこまでほれ込んでいたということだろう。

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