柴門ふみの人生相談

孫の世話、感謝されていないと思うとばかばかしい気持ちに…

回答

 実は私も実母に下の子の世話を任せて、ずっと仕事をしていました。

 最初は感謝しつつも、いつの間にか世話をしてくれて当然の気持ちになっていました。なので、相談者の方の言葉は耳に痛いです。それでも母は愚痴ひとつ言わず、ずっと私の子育てをフォローしてくれました。

 今母は85歳で、私と同居しています。

 つい先ごろのことです。私の幼なじみがやってきて母に尋ねました。どうしていつもそんなに淡々と不平不満を口にせず生きていけるか、と。すると母は、「私は一切、期待しないから。自分がしたいから、する。相手には見返りを求めない。主人の世話も孫の面倒も、そうすることが好きだから、やった。感謝されたいとか褒めてもらいたいとか相手に期待するから、不満が出る。やりたいことをやっただけ、と思えば何の不満もない」と答えたのです。

 私は、はっとしました。そして以来、夫や子供たちに対する不満が消えたのです。

 相談者の方は、「感謝されていないと思うとばかばかしい気持ちになる」と書かれています。ここで一度感謝を求めない生き方を検討してみてはいかがでしょうか? 「これだけやってあげたのに」というのは親の一方的な感情です。「やってあげた」ではなく「やりたいからやった」に気持ちを切り替えてみては。娘から保育料を金銭で受け取るのも一案です。

 ご相談の文面から、母娘は親密で仲の良い関係であることが読み取れました。

 しかしそれは一方で、母娘離れができていないなれ合いの関係とも言えるのです。このまま多少不満を抱えてもなれ合ってゆくのか、一見冷たく見えても娘と距離を置くのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

回答者・柴門ふみ

 漫画家。59歳。代表作は講談社漫画賞の『P.S.元気です、俊平』『東京ラブストーリー』『同窓生 人は、三度、恋をする』など。近著に『そうだ、やっぱり 愛なんだ』『柴門ふみの解剖恋愛図鑑』など。故郷の徳島市観光大使も務める。

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