芥川賞作家・円城塔の関西ぶらりぶらり

喜びも悲しみも、桜の下でお別れ

 そろそろ桜の季節である。現在の淀川から南に分かれる旧淀川の上流部、いわゆる大川と呼ばれるあたりの両岸には桜の木が並んでいる。

 関西に桜の名所はたくさんあるが、この大川の西岸には、造幣局(大阪市)が位置している。敷地には様々な八重桜が植えられており、季節になると、構内の通路が一般にも解放される。いわゆる「造幣局の桜の通り抜け」である。

 ふと前を通りかかると、今年は4月11日(火曜日)から4月17日(月曜日)までの7日間であるという掲示がでていた。夜は午後9時までということだ。

 名前はかなり知られていると思うのだが、実際に行ったというひとは関西圏以外だと急に少なくなりそうだ。なんといっても相手が桜である以上、期間がみじかく、年によって日時が異なる。計画的な旅行の目的地には組み込みにくい。

 このところ、桜を目当てに来日する観光客も増えているらしいと聞くが、毎度時期がずれてしまって、桜の花を見れたためしがないという人もいる。桜前線は1日に20キロ前後北上するらしいから時速1キロくらいのものである。電車で追いかけていけばよいのではと思わぬでもない。

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