居酒屋で刺身の盛り合わせを注文したり、スーパーなどでパック詰めの刺身を買うと、刺身のそばに必ずと言っていいほど白い「つま」が添えられている。その正体は、美しく千切りされた大根であり、刺身を見栄えよく色鮮やかに演出する名脇役であるが、このつまは食べるべきなのか、残すものなのか、皆さんは分かるだろうか? お店でつまは食べきる方が好ましいのか、残すと失礼にあたるのか、そのあたりのマナーはどうなっているのだろう? 気になったので数々の料理コンテストで最優秀賞を受賞されている料理家、山口麗子さんに伺ってみることにした。
三歩下がって刺身をたてるつま?
そもそもとしてのつまの役割から解明したいと思う。刺身の下に敷かれていたり、後ろに形良くあしらわれている大根のつまは、単なるお飾りなのだろうか?
「大根のつまは食用です。刺身を美味しそうにひき立てる役割もありますが、刺身から出る水分を吸い取って鮮度を保つ防腐作用があります。また、大根が持つ辛味成分や酵素は、抗菌効果や消化を助ける働きを持ちます。つまり、つまが添えられている刺身は鮮度が保たれているのはもちろん、一緒に食べることで食中毒や消化不良を防ぐことができます」(山口先生)
つまは、むしろ食べた方がよいものだった。そもそも、「妻」が語源という説もあるようで、内助の功で刺身を支える存在といえるのだ。
刺身の添え物は、すべて食用
大根のつま同様、刺身の添え物としてよく登場する、しその葉や海藻、小菊などはどうだろうか。