衝撃事件の核心

商談相手が別人にチェンジ…米仏ビジネスの振込先が「足立区」に 世界で「ビジネスメール詐欺」猛威

調べに対して、男は引き出した現金について「詐欺の被害金とは知らなかった」と犯意を否認。「東京・上野のアメ横で声を掛けられた見知らぬ外国人に『口座を貸してほしい』と声を掛けられた」と供述したが、捜査当局は男の背後には、メールをハッキングしていた国際的な詐欺グループがいるとみて調べている。

組対総務課は2月にも、類似の事件を摘発している。27年6月、フィリピンの企業から神奈川県内の都市銀行支店の銀行口座に送金された現金580万円を不正に引き出したとして、詐欺と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の隠匿)の疑いで、神奈川県大和市に住むナイジェリア国籍の男(46)を逮捕したのだ。

この事件では、フィリピンの農業用肥料販売会社と東京都内の貿易会社とのメールのやりとりが何者かに差し替えられていた。

「メールに添付されていた取引代金の振込先が、男が代表を務める会社名義の口座に書き換えられていた。フィリピンの会社の担当者が、メールの改竄(かいざん)に気付かずに代金を振り込んでしまったことで被害が発生した」(捜査関係者)

世界で2万2千社が被害

似通った2つの事件は、世界各国で被害が続発するビジネスメール詐欺の典型的な手口だ。

米連邦捜査局(FBI)の統計では、2013年10月〜16年6月に世界の企業約2万2千社で約31億ドル(約3452億円相当)の被害が報告されている。

「10年以上前から確認されているある意味で古典的な詐欺」(捜査幹部)とされるが、2つの事件から見えるある傾向が捜査当局の危機感を強めている。

前出の組対幹部は「2つの事件ともに、詐欺グループが送信した偽メールのアドレスが、本物のアドレスの1文字だけに変更を加えるなどしたもので、非常に見破りにくかった」と指摘。「手口がより巧妙かつ複雑になっている」と話し、警戒を呼びかけている。

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