鉄道運輸収入も、発足年度から23%増の8500億円(28年3月期)と大きく伸ばした。特に私鉄や地下鉄と競合する京阪神では、9年に東西線を開業し、その後も神戸、京都方面で新駅開業や新快速の増便などに力を入れてきた。近畿圏での輸送量は、11年に在阪私鉄5社の合計を上回り、さらに差を広げている。
ただ、近畿圏以外の運輸収入は、発足当初の1718億円(昭和63年3月期)から、1105億円(平成28年3月期)に減少した。
安全対策も推進
昨年、廃線を決めた広島・島根両県を結ぶ三江線は、1日1キロ当たりの利用人員を示す「輸送密度」が発足時の458人から50人に落ち込んでいる。来島社長は「三江線に準ずる(利用人員の)エリアもある。どういう交通がふさわしいのか、地元との相談が必要」とし、廃線も含め再編を検討する考えを示す。
一方、平成17年4月に起きた福知山線脱線事故について、来島社長は「事故発生を予見できなかったことは、非常に大きな反省」と言及。事故の予兆現象を事前に数値化する「リスクアセスメント」といった取り組みを推進し、安全対策の技術開発も進めるとした。