ビジネスの裏側

ICTで負担軽減とやりがい向上の一石二鳥、建設・介護業界の「働き方改革」

スマートフォンで工程などを細かく撮影し、データも処理するシステム。書類作成の手間を大幅に簡略化できるという=大阪市淀川区(田村慶子撮影)
スマートフォンで工程などを細かく撮影し、データも処理するシステム。書類作成の手間を大幅に簡略化できるという=大阪市淀川区(田村慶子撮影)

 働き方改革の柱として長時間労働の是正に向けた議論が進むなか、建設や介護現場の無駄を省く製品が相次ぎ開発されている。情報通信技術(ICT)で工事後の事務処理や、介護施設の居室の見回りなど手間のかかる仕事の負担を軽減。本来の仕事に専念できれば、働き手のやりがいにもつながると期待されている。(田村慶子)

スマホで簡単管理

 スポーツ施設や倉庫など特殊な膜を使った大規模建造物を手がけるテントメーカー、太陽工業(大阪市淀川区)は2月、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けに建設現場の業務を効率化する無料アプリ「ミライ工事2」の配信を始めた。

 着工前から完成までの施工状況を記録する「工事写真台帳」を自動で作成するソフトだ。デジタルカメラの写真を表計算ソフトに取り込むなどの手間を省き、スマホ1台あれば台帳を作れる。データはPDF化し、印刷も可能だ。

 IT機器の操作に苦手意識を持つ人にも分かりやすい操作性を追求。同社の担当者は「継続的なアップデートを図りたい」という。

背景には増える負担

 ミライ工事2を開発した背景には、工事現場の厳しい現実がある。人手不足で現場の負担が増す一方で、法令順守などの観点から、元請けのゼネコンや行政機関に提出する書類が増えているという。

 建設業界は、法の制限を超えて時間外労働ができるよう労使が結ぶ「36協定」の適用が除外されているが、長時間労働をなくすために見直しも検討されており、業務の効率化は喫緊の課題だ。

 そんな中、改善の余地があるとみられたのが工事写真台帳の作成作業だった。現場で撮影した写真をパソコンへ取り込み、1枚ごとに説明を入力する手間のかかる仕事だ。繁忙期には夜間に及ぶ現場作業後に書類作成に追われ、過重労働に陥る現場監督は多い。ミライ工事2なら「事務作業の軽減に役立つ」と担当者は話す。

 同社は今後2年以内に数万件のダウンロードを目指しており、料金を支払えばデータの保存容量を増やせるサービス投入も計画している。