大相撲春場所

土俵人生懸けた自覚と執念、奇跡生む 稀勢の里「自分一人の力じゃない」

 大阪市港区の田子ノ浦部屋宿舎で午後11時半から約2時間施術を受け、同伴していた医師が痛み止めの注射を左胸などに打った。千秋楽の26日は朝稽古後、珍しく報道陣の取材に応ぜず。弱みは見せたくなかった。再びトレーナーの施術を約1時間受けて会場へ。治療の詳細は部屋関係者にもほとんど明かさなかった。

「自分のために苦労して入場券買った人がいる」

 決して軽くないけがを悪化させれば今後の土俵人生に影響を及ぼす恐れもあるが、迷わず最後まで出続けることを選択。後援者にその理由を語っていた。

 「自分のために苦労して入場券を買ってくれた人がいる。新横綱を楽しみに来てくれる方も多いんだ」

 今場所は19年ぶりの日本出身新横綱として土俵に上がっていた。優勝争いどうこうよりも、まずそこに己がいなければならない責任を強く感じていた。出るからには勝利を求められる。だから千秋楽はこれまでほとんどしたことのない立ち合い変化を見せた。優勝決定戦では捨て身の小手投げ。目の前の白星を求める執念がなせる技だった。

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