産経抄

あいまいな「関与」という言葉を独り歩きさせる朝日新聞、印象操作に気をつけたい 3月25日

 朝日新聞はよほど「関与」という言葉がお好きらしい。24日付朝刊では、学校法人「森友学園」の土地問題をめぐり、1面トップ記事で「昭恵夫人付職員が関与」との大見出しが躍っていた。安倍晋三首相夫人が土地問題に関係を持ち、事にあずかっていたのだとの印象が刷り込まれる。

 ▼他紙はと見ると、毎日、日経、東京の各紙がそろって問い合わせを意味する「照会」との表現を使っていた。社説でも「昭恵氏が、国有地払い下げに関与したことを疑わせる」「何らかの動きをしていたなら、一定の関与をしていたことになる」と書いた朝日の念の入れようは突出している。

 ▼朝日が「関与」を強調した事例といえば、平成4年1月11日付朝刊の1面トップ記事「慰安所 軍関与示す資料」が思い浮かぶ。実は慰安婦募集に際し、一般市民の誤解を招かぬように誘拐などを行う悪質な業者に気をつけろという通達のことだった。

 ▼ところが、本文とは別に「朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した」といった事実と異なる解説記事があったため、強制連行の証拠資料であるかのように誤解された。記事の5日後に韓国を訪問した当時の宮沢喜一首相は、「関与」の中身も分からぬまま8回も謝罪した。

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