宝飾品販売のTASAKIは24日、経営陣による自社株買収(MBO)を実施すると発表した。投資ファンドを通じて株式公開買い付け(TOB)を開始し、同社は上場廃止になる見通しだ。海外市場で積極的な投資を行い、一時的に業績や財務の悪化が見込まれるため、非上場化で経営の自由度を高める狙いだ。MBOで上場廃止に踏み切り、経営が短期的な業績で左右されないようにする企業が増えている。
TASAKIのTOBは27日から5月11日まで。買い付け価格は1株2205円で、24日終値(1735円)よりも3割程度上乗せした。
最終的には全株の取得を目指しており、買い付け総額は300億円程度になる見込み。買い付け資金は、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズグループによる出資と、銀行からの借り入れでまかなう。
国内の宝飾品市場の大きな成長は見込めず、TASAKIは欧米市場での販売強化を狙っている。店舗拡大や広告宣伝費の増加などでコストがかさむため、「一時的に収益にマイナスの影響が出る」(広報担当者)と判断した。
近年、アデランスをはじめMBOに踏み切る企業が出ている。四半期決算の導入などにより、投資家が短期的な利益を追う傾向を強めており、株主の意向だけに縛られたくないという経営側の考えがある。