浪速風

ブルマーは「女子運動用黒布襞入裁着袴」

昨日の夕刊で山本雄二関西大教授の「ブルマーの謎」(青弓社)を取り上げた記事を読んで、向田邦子さんのエッセーを思い出した。旧制女学校に入ってほどなく戦争が始まった。「敵性語を習うことなど以(もっ)ての外というので、英語の授業は中止である。習うだけでなく使うことも禁じられてしまった」

▶「じゃブルマーは何と言うのかしら」。みんなで知恵を絞り、「女子運動用黒布襞入裁着袴(ひだいりたつつけばかま)」。わざと難しい名前にしたのは、憂さ晴らしだったようだ。やがて「女子運動用-」を用いての体操どころではなく、セーラー服は国民服になり、スカートはモンペになって工場動員された。

▶「そのうちきっと英語の時代がくる」とこっそり勉強する同級生がいたが、同調する気になれず、戦争が終わった時、ビューティフルという単語の綴りが書けなかった。ブルマーは向田さんにそんな記憶を呼び起こす。今、女性たちはカラフルなファッションで、スポーツを楽しんでいる。