銀幕裏の声

逃げ込んだトイレの個室、探し回る編集長の怒鳴り声…電通だけでない、デスマ映画地でいく出版社のブラックな実態

でも辞められない…負のスパイラル

 「典型的なブラック企業でした」と初田さんは振り返る。

 過労死が頭をよぎるなかで、それでもなぜ会社を辞めなかったのか?

 「雑誌が廃刊になったら、担当の編集者はその責任を取らされ、雑誌の配送センターがある埼玉の倉庫送りというパターンが編集部内の常識でした。窓際族送り、つまり事実上のリストラ勧告です。過労死か窓際か。そんな恐怖心で編集マンたちは働かされていたのです」と初田さんは打ち明け、こう続けた。

 「過労死も窓際も絶対に嫌ですが、40歳のアダルト誌の編集マンが、今、出版社を辞めても再就職できるのか…。みんな、そんな恐怖心を抱える負のスパイラルに陥ってしまうのです」と。

 初田さんは「だからみんな会社を辞められないんです」と訴える。会社もその状況を分かった上で、パワハラを見逃しているから社員の鬱病の発症や過労死が一向になくならないのではないか、と初田さんは指摘する。

40歳で留学を決意

 40歳で出版社を退社した初田さんは一念発起。中国語を学ぶために上海の大学への留学を決意する。

 「出版社にいた頃から台湾旅行が好きで、中国語に興味を持っていたんです。当時は独学で中国語を覚え、旅行に行くことで、仕事のつらさを忘れることができて…。でも、いざ留学していかに無謀だったかを思い知らされましたが」と初田さんは留学時代を思い出しながら苦笑した。

 中国の大学では初田さんが最年長だったという。

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