銀幕裏の声

逃げ込んだトイレの個室、探し回る編集長の怒鳴り声…電通だけでない、デスマ映画地でいく出版社のブラックな実態

 当時、発行部数数十万部を誇ったベストセラーの男性ビジネス誌などの編集デスクなどを担当していた優秀な編集マンだったが、インターネットの普及で出版不況の時代がやってくる。

 「『何か売れるアイデアを出せ!』と上司に怒鳴られましたが、一度落ち始めた部数は、どんな企画や特集を打ち出しても食い止めることはできませんでした」と初田さんは振り返る。

執拗なパワハラ 過労死か窓際か!?

 入社して11年。初田さんは男性ビジネス誌の売り上げ不振の責任を取らされ、廃刊寸前のアダルト誌の編集担当に左遷させられたという。

 初田さんはアダルト誌と言って謙遜するが、同誌はかつて人気アイドルのカラーグラビア特集などでベストセラー誌として隆盛を誇った、タイトルを知らない人がいないほどの有名な青年誌だ。だが、深刻な出版不況を前に、初田さんが異動した後も、売り上げを回復させるための方策はなかった。

 しかし、ここでも編集長の執拗(しつよう)なパワハラは続いたという。「月刊誌の売り上げ減分を隔月のムック本の発行によって補え、という方針。つまり編集者に、もっと働けという過酷な命令でした」

 雑誌数が増えた分、編集作業はより過酷になり、編集部員たちの徹夜の日数はさらに増えたという。

 「あまりのしんどさに耐えかねて編集部員たちは次々と編集長の目を盗んでトイレへ駆け込むのですが、5〜10分休むのが精いっぱい。労働量は増え続ける一方で、鬱病を発症する部員が相次ぎました」

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