足利の「山姥切国広」展かつてない盛況 もてなし徹底、「神対応」好評

 名刀「山姥切(やまんばぎり)国広」の特別展で、足利市のもてなしが「神対応」と刀剣女子の間で好評だ。連日にぎわいを見せる同市立美術館(同市通)の特別展「今、超克のとき。山姥切国広、いざ、足利」(4月2日まで)の充実した展示内容に加え、素早い情報提供、グッズ販売や会場案内の適切な対応も評価が高い。「神対応」効果もあり、連日1千人以上が訪れ、入館者記録を更新中だ。 (川岸等)

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 ◆「足向けて寝られない」

 「神対応すぎて足利に足向けて寝られない」「美術館、協力店含めあまりの神対応っぷりにただただ頭が下がる思い」「各地の(刀剣展の)神対応の集大成って感じ」。短文投稿サイト「ツイッター」にはこんなつぶやきがあふれる。

 福岡から訪れた女子大生4人は「刀だけでなく足利との関連、歴史背景がよく分かった」。入館者に無料配布されるカラー12ページのリーフレットも好評で、「無料でいいのか」「めちゃくちゃ豪華で、買ってもいいのよ」と称賛の嵐。本来開催される学芸員のギャラリートークが混雑で開催できないため、「代替措置として内容を充実した」(市教委文化課)経緯がある。

 一時4時間待ちで懸念された案内誘導も「列さばきが神対応」と高評価。土日祝日は20人、平日13人態勢で誘導に当たり、開館前から殺到するファンを館内外3カ所の待機所に誘導。展示会場の収容人数を約80人に抑えながら、安全にゆっくり鑑賞できるよう配慮した。

 市公式ツイッターでは、空模様・気温、待ち時間、グッズの販売状況などリアルタイムで情報発信。人気の関連グッズ販売では初日に500人が並んだことから、急遽(きゅうきょ)、予約販売も受け付けることになり、利用者からは「品切れでも後日発送って、神対応で素晴らしい」。

 ◆官民の連携奏功

 「桁違いの来客」(和泉聡市長)を念頭に、全庁態勢で進めた同市の準備が功を奏した形だ。刀剣展開催地の福岡市にも足を運び、徳川美術館(名古屋市)、佐野美術館(静岡県三島市)への電話での聞き取り調査。商工担当職員は市内100店舗以上を駆け巡り、協賛する46店舗の協力を取り付けた。地元商店会も加盟店舗が独自メニューを持ち寄り、試食会を開くなど準備に力を入れた。和泉市長は「協賛46店舗に象徴されるように、官民一体となった周到な準備と連携があったからではないか。受け入れ側としては刀剣ファンのマナーの良さに驚いている」と喜ぶ。

 入館者は会期3分の1で同館の1カ月間の最多記録1万2千人を超え、最終的に3万人に達する見込み。関連グッズは飛ぶように売れ、周辺のカフェや飲食店は昼夜行列ができるほど盛況だ。「足利の皆さん優しすぎかな。たくさんお買い物して経済協力します」。ツイッターには、こんなつぶやきも飛び交う。刀剣ファンによって「歴史と文化のまち」はかつてない盛り上がりをみせている。

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