日本の家族関係社会支出を国内総生産(GDP)比で見ると、年金など高齢者関連の社会支出が10・4%と経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均7・4%を大きく上回るのに対し、子供関係は1・35%と各国の半分以下となっている。世界のトップを切って高齢化が進む日本の現状を反映しているともいえるが、次世代を担う子供の育成の重要性を考えるとバランスを欠く気もする。
要する費用は半端ではないが、数字の上では施設より里親委託、養子縁組の方がコストは低い。子供が健全に育てば次の時代を支える宝にもなる。
必要なのは社会全体の覚悟と決意である。4月4日の養子の日を前に改めて思いを強くする。(日本財団会長・笹川陽平 ささかわ ようへい)