正論

4月4日は「養子の日」 社会的養護の柱に養子縁組を 社会全体の覚悟と決意が必要 日本財団会長・笹川陽平

日本財団の笹川陽平会長(栗橋隆悦撮影)
日本財団の笹川陽平会長(栗橋隆悦撮影)

 欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。

 ≪まずは施設から里親委託へ≫

 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。

 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で民間の養子縁組あっせん団体も届け出制から許可制に変わった。

 里親委託を増やす一方、民間あっせん団体の透明性を高め、官民一体で特別養子縁組を増やす狙いと理解する。ただし養子縁組は双方のマッチングなど難問も多く、短期間の大幅増は難しい。

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