「贔屓のパブに頻繁に足を運んで酒を飲む人の方が、そうでない人に比べて、より広い人脈とネットワークをもっていることが判明しました。また前者は、地元コミュニティへの関心や貢献も高く、それが引いては人生そのものへの充足度を高めてくれるという結果も出ました」と語るのは、当リサーチに参画したメンバーの一人、ロビン・ダンバー教授。彼は次のように続ける。
「歴史的に見ても、パブという存在は地元への絆・愛着を醸成する大切な社会的役割を果たしてきましたが、今回の研究では、アルコールが、(脳内の神経伝達物質である)エンドルフィンの分泌を促進し、それにより人間同士がお互いに親密な関係を形成する結果につながることが観察できました」
通常、アルコールに関する研究となると、健康被害や過剰摂取に起因する犯罪などネガティヴな内容になりがちだ。しかしダンバー教授らは、いまから約7%2C000年前にはすでに人類が醸造酒を摂取していた記録がある事実を重視し、長年人類がアルコールを嗜好してきた根底には、実生活にポジティヴな効用があるからではないかという仮説に基づいて、今回のリサーチがスタートしている点がユニークだ。
ダンバー教授らの調査はさらに、パブで頻繁に飲む人の方が周囲からの人気が高く、また友人の数も、酒を飲まない人の平均6人に対して、飲む人は平均8人の友人がいるという結果も報告している。