震災6年 被災地発

アレルギー 災害時の配慮広がる

 ■対応食品開発、備蓄 教訓生かす

 東日本大震災の際に、自治体が備蓄していた非常食や避難所に届けられた支援物資が食物アレルギーに対応せず、アレルギーを持つ人や家族が食料の確保に苦労した。アレルギーに対する無理解から「緊急時にわがままを言うな」との声を浴びせられたケースもある。震災から6年たち、そうした苦い経験を生かそうと、さまざまな動きが広がってきた。(大渡美咲)

                  ◇

 アレルギー対応食品の製造・販売を手がける「ヘルシーハット」(仙台市宮城野区)は卵や小麦、牛乳などのアレルギーがあっても安心して食べられる、米粉の防災クッキー「まいこ」を開発した。缶入りで3年の備蓄が可能だ。

 アレルギー対応食品について30年のノウハウを持つ社長の三田久美さんは震災当時、アレルギー対応の商品をワゴン車に積み込み、顧客のいる被災地に届けて回った。その際の避難所での光景が今でも忘れられない。

 「アレルギー対応食品の支援物資が届いても、自治体の職員が理解しておらず、配られないまま隅に追いやられていたり、『わがままを言うな』と言われた人もいた」(三田さん)

 三田さんは非常時に自治体で備蓄できるものを提供しようと、卵や小麦などアレルギーを引き起こす27の原料を使わずに米粉で作った3つの味のクッキーを開発。「災害時に甘い物が食べたい、見ただけで心の栄養になるようなものを作りたかった」といい、ハートやひまわりの形にした。

 三田さんはアレルギー物質の入っていないフィンランド製のチョコレートも販売。アレルギーの原因食材や家族の連絡先、集合場所などを記す「食物アレルギー防災カードセット」も作り、全国のアレルギーを持つ人たちに配布している。

 国の防災マニュアルにアレルギー対応食品の備蓄を項目に入れることを要望するなど、行政へも働きかけている。三田さんは「備蓄こそが最速で最良の支援。アレルギーへの理解を深めてもらい、どんどん備蓄を進めていきたい」と話す。

 震災後、内閣府が作った避難所の指針には食物アレルギーの患者に配慮して食料を備蓄することが盛り込まれた。しかし、平成27年の調査では、食物アレルギーに配慮した備蓄を行っている市町村は指定済みの避難所のある944自治体のうち406自治体にとどまった。

 仙台市では震災当時のアレルギー対応の備蓄がアルファ米のみだった。その後、これを見直し、現在はアルファ粥(がゆ)や咀嚼(そしゃく)が難しい人でも食べられる調理不要食、ようかんなど種類と量を増やした。

 また、日本小児アレルギー学会は震災後、災害時の子供のアレルギー疾患対応パンフレットをホームページで公開している。