都市を生きる建築(90)

「大阪」を満喫できる最高の展望「OMM」…商業の街を支えた立体卸売センター

 そこで計画されたのが、立体卸売センターとしてのOMMだった。フロアごとに同業種からなる問屋街を形成し、施設や設備を共有して立体的に積み上げて機能集約をはかり、都心の高度利用を推し進めようとした。当時国内に先例はなく、計画に際してはシカゴのマーチャンダイズマートなどを視察したという。

 敷地は京阪電鉄の始発駅であった天満橋の地上駅があった場所で、1963年に淀屋橋駅までの延伸が実現し、天満橋駅は道路を挟んだ地下駅に移設されたため、旧地上駅にできた空き地が計画地に選ばれた。その背景には、郊外ではなく都心の立地が有利とされた、繊維をはじめとする軽工業主体の大阪の卸売業界の特質もあった。

 現在は回転していないが、今も最上階部分には上質なサービスを提供するレストランがあり、屋上も夜間まで開放されている。竣工から間もなく50周年を迎えようとするOMMとそれを取り巻く状況は大きく変化したが、大阪城と中之島という、大阪の歴史と地理の要を見渡す眺めの素晴らしさは、今も全く変わらない。(高岡伸一/建築家・大阪市立大学講師)

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