都市を生きる建築(90)

「大阪」を満喫できる最高の展望「OMM」…商業の街を支えた立体卸売センター

【都市を生きる建築(90)】「大阪」を満喫できる最高の展望「OMM」…商業の街を支えた立体卸売センター
【都市を生きる建築(90)】「大阪」を満喫できる最高の展望「OMM」…商業の街を支えた立体卸売センター
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 国内最高の高さを誇るあべのハルカスや、外国人観光客で賑(にぎ)わう梅田スカイビルなど、人気の展望台をもつ高層ビルをこれまで本連載でも紹介してきたが、「大阪らしい」眺めという点では、天満橋の南詰に建つOMMも負けていない。地上22階、78メートルという高さは、都心の高層ビルとしては目立って高いわけではない。しかし南東に大阪城公園を一望に見下ろし、西を向けば剣先から中之島を一直線に見通すことができる。これ以上に「大阪」を満喫できる展望スポットが、他にあるだろうか。

 OMMは、大阪マーチャンダイズ・マートビルとして、1969(昭和44)年に竹中工務店の設計・施工によって完成し、OMMビルの略称で親しまれてきた。竣工(しゅんこう)当時、西日本で最も高いビルとして大きな注目を集め、22階には回転展望レストラン「ジャンボ」があり、1973年からは20階の屋上でスカイビアガーデンがオープンして市民の人気を集めた。しかしOMMで注目すべきは眺望だけではない。このビルは大阪の都市計画上、非常に大きな意味をもっていた。

 大阪では船場地区の繊維問屋に代表されるように、中心市街地にひしめき合うようにして店舗が集まり、業種ごとの問屋街を形成していた。店内は狭隘(きょうあい)で道路も狭く、車の積み荷の出し入れが慢性的な交通渋滞を引き起こして、都心の交通網が麻痺(まひ)する深刻な状況を生みだしていた。何より低層の建物が都心を埋める問屋街は、都市の高度利用という点であまりに非効率で、商業都市・大阪の地位の低下が叫ばれる中、卸売業の合理化と流通の改善は大きな課題となっていた。

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