世界勲章物語

21世紀の勲章 年齢制限を廃止など改革の余地大きい日本の叙勲 関東学院大教授・君塚直隆

 さらに21世紀。戦争や自爆テロなどで命を落とした兵士たちの遺族を対象とする「エリザベス十字章」が制定され(2009年)、エリザベス2世女王が残された妻や夫、子供たちを宮殿に招待し、お悔やみの言葉とともに直々に授与している。同じ国のなかでも、栄典は時代とともに変わり、時代を映す鏡となる。

 わが国でも昨年(平成28年)、政府により「時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会」が立ち上げられ、5月には提言も出された。地方からの人口流出やグローバル化、女性の活躍といった昨今の日本社会の変化に応じ、地域の民間活動に貢献した人々への叙勲や、日本と関わりの深い外国人、さらに各界で活躍する女性への叙勲を増やしていこうとの提言であった。

 こうした一歩は極めて大切である。しかし、わが国で叙勲を取り扱う内閣府賞勲局の悩みが、広報に予算を充てられないことにあると聞く。せっかく有資格者の枠を広げようにも、勲章制度そのものに対する国民の関心が低かったり、こうした制度があること自体を国民が知らないようでは、元も子もあるまい。

 そこで今一歩踏み込んでもいいかもしれない。現状では、日本の叙勲対象者は、警察や消防、自衛官など生命の危険にさらされやすい一部の職種(55歳以上)を除くと、70歳以上に限られている。