保育所など一時預かり、専業主婦利用しづらく 待機児童の受け皿化 静岡県、具体的対策進まず

 本来は臨時的な利用のためにある保育所などの一時時預かり事業が、実質的に待機児童の受け皿になってしまい、専業主婦らが利用しづらい状況にあることが、県こども未来課の調査で分かった。同課では「週に何日も預かり保育を利用することで待機期間を乗り切っている母親がいる。保育所の数が圧倒的に足りていない」と対応に苦慮している。

 調査は昨年5〜6月、子育て支援拠点の利用者1500人に実施した。それによると、「子育てから一時的に離れたくて子供を預かってほしいと思ったことがある」のは、就労中の母親の48%に対し、専業主婦を含む無職の母親は69%で、専業主婦の方が一時預かりへのニーズが大きかった。

 こうした要望に合わせて、自治体は保育所や幼稚園、子育て支援施設などで一時預かり事業を展開しているが、それらが実質的に待機児童の受け皿になっている現状があるようだ。今回の調査でも、子育てから離れたいときに一時預かりを利用しなかった理由は、「預け先がなかった」が49%を占めており、「預けることに抵抗があった」や「周囲に反対された」を大きく上回る。

 同課では、待機児童の保護者が一時預かりを定期的、継続的に利用するため、本来の目的である一時的、緊急的な利用希望に応じることが難しくなっていると分析。「一時預かりを子育ての負担軽減や緊急的な利用のためにいつでも使えるよう、体制整備を進める」とするものの、具体的な対策は見えてこない。

 県は平成32年4月までに待機児童をゼロにする目標を掲げ、保育所の受け入れ枠を毎年2千人規模で増やしているが、昨年4月1日現在の待機児童数は449人。施設整備を進めるほど利用希望者が掘り起こされて増加するといういたちごっこが続いている。さらに、全国的な保育士不足で、新設した保育所数に見合う保育士の確保も難航している。

 県は、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園の整備や小規模保育事業への助成などにより保育受け入れ枠を拡大する一方、幼稚園教諭免許所有者の保育士資格取得を促したり、離職した保育士の就職支援を行うことで必要な保育士を確保することを目指している。

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