IT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)は13日、医療関連などの情報まとめ(キュレーション)サイトで不適切な運営が発覚し休止に追い込まれた問題で、昨年12月からの第三者委員会による調査報告書を発表した。掲載した画像のうち最大で74万7643件に複製権を含む著作権侵害の疑いがあることを明らかにした。同日付で代表取締役に復帰した創業者の南場智子会長は同事業の再開について「まったくめどが立っていない。白紙です」と述べた。
DeNAは責任を取り、守安功社長の月額報酬の減額幅を昨年12月発表時点の30%から50%に拡大することを決定。同事業を統括していた村田マリ氏はDeNAの執行役員を辞任する。
記者会見の冒頭、守安社長は「改めて深くおわび申し上げる」と陳謝した上で、「キュレーション事業の理解や定義があいまいで、利用者への本質的価値が優先されていなかった」と述べた。南場会長は、コンプライアンス徹底に向けて「事業推進側と独立で厳しい意見が言える人材を配置する」と表明した。
同事業が頓挫したことを受けて守安社長はゲームに次ぐ柱となる事業について、「オートモーティブ(自動運転など)やヘルスケアを前倒しできないか。別の事業も含めて検討したい」と述べ、5月予定の平成29年3月期決算記者会見で具体的な考えを示す考えを示した。
調査報告書によると、医療・健康情報サイト「WELQ(ウェルク)」で、薬機法など法令違反の可能性がある記事が10本作成されていた。また、全体で37万本超の掲載記事のうち、盗用など著作権侵害の疑いのある記事は最大5・6%あったと推計。不正が記事2万本程度に広がっていた可能性も分かった。