浪速風

被災地の学生服

震災から6年目を迎え、朝陽が昇る浪江町の請戸地区。手前は未だなぎ倒されたままの墓石=11日午前、福島県浪江町
震災から6年目を迎え、朝陽が昇る浪江町の請戸地区。手前は未だなぎ倒されたままの墓石=11日午前、福島県浪江町

1枚の写真が目に焼きついている。津波にのまれ、がれきが散乱する中に、箱に入ったままの真新しい学生服があった。胸のボタンに「中」とあるから中学だろう。4月から袖を通すはずの生徒は無事だったのだろうか。東日本大震災から6年。入学していれば、今年は高校卒業である。

▶当時、小欄で書いた、ある高校の校長の卒業生への「贈る言葉」を再び引きたい。「今ここで高校を卒業できることの重みを深く共に考えよう。被災地にあって、命そのものに対峙(たいじ)して、生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げよう。共に共にいまここに私たちがいることを」

▶震災では多くの学童、生徒が犠牲になった。東電福島第1原発の事故で、今なお避難生活を送る子供たちもいる。励ますべきなのに、心ない放射能いじめを耳にする。なんと情けないことか。あの日、日本中が悲しみに震えた。助け合おうと誓った。その思いを忘れてはならない。