窃盗罪に問われた元アナウンサーに無罪 最高裁「重大な事実誤認」

 窃盗罪に問われ、1、2審で有罪とされた広島市の元アナウンサー、煙石博被告(70)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は10日、「1、2審には重大な事実誤認がある」として広島高裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。

 最高裁は通常、憲法違反の有無など法律問題だけを審理する。1、2審で有罪とされた被告が最高裁で無罪を言い渡された例は、平成19〜28年に9人。

 煙石さんは平成24年9月、広島市の銀行支店で、客の女性が記帳台に置き忘れた封筒から現金6万6600円を抜き取ったとして起訴された。

 弁護側は「そもそも封筒に現金が入っていなかった可能性があり、犯行を示す客観的証拠もない」と無罪を主張。検察側は、「前日に封筒に現金を入れた」とする女性の母の証言は信用性が高く、煙石さん以外に「現金を窃取できた者はいない」としていた。

 1審広島地裁は懲役1年、執行猶予3年を言い渡し、2審も支持した。

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