社会部発

「かあちゃん、ごめんな」 介護殺人、60年連れ添った84歳夫の「謝罪」

 「かあちゃん、かあちゃん。ごめんな。60年連れ添ったのに…」

 東京都八王子市の住宅で2月24日、住人の斎藤節子さん(81)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された夫の隆吉容疑者(84)は犯行直後に大量の睡眠剤を飲み病院に搬送された際、うわごとのようにそう繰り返していたという。うつろな意識の中で口をついて出たのは、心中を図って手にかけた妻への謝罪の言葉だった。

 裁縫が得意で、自分で洋服をつくるほど器用だったという節子さん。近所の80代女性が異変を感じ始めたのは、2、3年ほど前からだった。自宅の玄関先でうろうろしていた節子さんに声をかけると、自分の家が分からなくなっていたという。認知症だった。

 そんな節子さんのために隆吉容疑者は部屋のあちこちに注意書きを貼り、毎朝近くのスーパーへ買い物へ出るなど、食事の面倒も見ていたという。施設へ入れることも検討されたが、週2回のヘルパーの支援を受けながら、自分の手で介護を続けていた。長年連れ添った妻と離れたくなかった思いからかもしれない。

会員限定記事会員サービス詳細