一筆多論

EMP攻撃で「文明」は崩壊…日本は何千万人も餓死に追い込まれる 榊原智

 現代の輸送車両、通信機器で電子機器・回路なしで動くものはまずない。輸送網と通信網が止まり、電力も供給されなければ明治初期や江戸時代のインフラ状況に戻ることになる。多くの国民は原因さえ知る術(すべ)がない。社会システムは崩壊し、飢えが襲うだろう。

 国会でEMP攻撃に警鐘を鳴らした国会議員は過去1人しかいない。衆院議員当時の小池百合子東京都知事である。

 小池氏は「北朝鮮の核開発が注目されるが、EMP爆弾というものがある。電磁パルスが日本を襲ったときにどうなるか。金融機関とか交通、あらゆる社会的なシステムが停止する。どれくらいの被害を想定し、いつまでに政府としてどこが中心になって何をやるのか」(22年1月22日、衆院予算委)と、当時の民主党政権にただした。

 だが民主党政権も自公連立政権も、脅威かどうかの検証をしていないようだ。

 核爆発による直接的な死傷者以上の「メガデス」を招きかねないのなら、EMP攻撃は核抑止の対象だと日米両政府は明確にすべきだ。弾道ミサイルや航空機が高高度に達する前に迎撃する能力も欠かせない。

 ただ、政府には防衛省・自衛隊にとどまらない取り組みが求められる。電子機器・回路にはEMP対策として技術的に防護を施せるという。政府は被害想定を見積もり、国民を守るために必要との判断に至れば、経済対策にもなると割り切って防護策に乗り出すべきではないか。(論説委員)

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