公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3日、平成28年10〜12月期の運用実績が10兆4973億円の黒字になったと発表した。黒字は2四半期連続で、市場運用を開始した13年度以降では過去最高の運用益。トランプ米政権への政策期待から国内外で株高が進んだうえ、円安ドル高で外国債券や外国株式を円換算した際の評価額が高くなったことも影響した。
28年10〜12月期の運用利回りは7・98%、運用資産額(28年末時点)は144兆8038億円で、いずれも過去最高になった。
資産別の運用実績は、国内外の株価上昇を受け、国内株式が4兆6083億円の黒字、外国株式が4兆8213億円の黒字。
国内債券は長期金利の上昇(債券価格は下落)で、5190億円の赤字だった。米金利も上昇したが、外国債券は円安の効果で、1兆5762億円の黒字。
GPIFは26年に運用資産の構成を見直し、国内外の株式の割合を計50%まで引き上げた。株価変動の影響を受けやすくなった結果、28年4〜6月期は世界的な株安などで5兆円超の赤字だったが、今回は大幅な黒字になった。
GPIFは「積立金は長期的な観点から運用しており、四半期の短期間で評価するのはふさわしくない。慎重を期して運用にあたっていきたい」と説明。長期運用を通じて、28年4〜12月期の利子・配当収入は2兆137億円に上ったとしている。