朝日新聞研究(5)

「偽ニュース」といえばサンゴ事件 慰安婦の大誤報、中国人の言い分垂れ流しも

 今日まで尾を引いている歴史問題の発端は、1982年の第1次教科書事件(誤報事件)である。この年の教科書検定で、「侵略」が「進出」に書き換えさせられたと、報道各社が同年6月、一斉に報じたのだ。

 完全な偽ニュースだったのだが、当時の宮沢喜一官房長官が、検定において近隣諸国に配慮するという「近隣諸国条項」を作ってしまった。各社は途中で微修正し、産経新聞や朝日新聞などは9月になって、紙面で謝罪・訂正した。

 朝日新聞による歴史問題報道では、吉田清治証言を元にした慰安婦の大誤報はもちろんだが、朝日新聞のスター記者として知られた本多勝一氏が執筆した『中国の旅』(朝日新聞)には大きな問題がある。

 日本軍が戦時中、中国でいかに残虐行為を働いたかを告発した連載で、中国人の言い分を垂れ流しており、旧日本軍将兵などに裏付け取材をした形跡はない。写真の誤用も指摘されており、偽ニュースに近いと言われても仕方ないのではないか。

 別にトランプ氏を応援するつもりはないが、彼が攻撃するニューヨーク・タイムズは、朝日新聞と提携関係にある。朝日の偽ニュースを、そのまま米国で報道するなら、日本人にも同紙を厳しく批判する資格がある。 =おわり

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、夕刊紙や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。

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