大阪府八尾市の子育て支援事業を利用して預けた生後5カ月の女児が託児先でうつぶせ寝にされ、低酸素脳症の後遺症で死亡したとして、女児の両親が託児先の女性らに計約7900万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、女性が4千万円の和解金を支払うなどの内容で、大阪地裁(三木素子裁判長)で和解が成立した。
事業は子育て支援を受けたい人と育児援助者を、行政が橋渡しする「ファミリー・サポート・センター事業」(ファミサポ)。
両親は「託児先に十分な講習をしなかった」として八尾市と事業委託を受けていた社会福祉協議会にも賠償を求めていた。和解内容で、市と社会福祉協議会は女児に哀悼の意を表すること、さらに託児先への講習などを通じて事故防止に努めることが盛り込まれた。
死亡したのは藤井さつきちゃん=当時(3)。訴状によると、さつきちゃんは生後5カ月だった平成22年11月、ファミサポ事業で紹介された八尾市内の女性が託児中、うつぶせ寝状態で放置され、一時心肺停止となった。蘇生したが意識が戻らず、25年10月に亡くなった。
和解成立後、大阪市内で会見した母親の真希さん(37)は「娘の事故があり、ファミサポ事業には十分な研修や適切な人を選ぶマッチングがなかったことが分かった。何かあったとき、当事者だけに丸投げされるのは改善してほしい」と話した。