ヤマト運輸、正社員の労働時間の年間目標を引き下げへ 来年度以降

 宅配便最大手のヤマト運輸が平成29年度から、正社員の年間労働時間の目標を引き下げる方針を固めたことが2日、分かった。トラックドライバーを含めた従業員の労働環境を改善する狙い。同社は労働組合の要求も受け、時間帯指定の見直しなどサービスの抜本改革に向けた検討に着手しており、詳細が固まり次第、通販事業者などにも理解を求めていく。

 年末年始などの繁忙期と閑散期の仕事量に波がある業務内容を踏まえ、ヤマトは正社員に対し、月単位ではなく年単位で労働時間の目標を定めている。関係者によると、現在は2456時間の目標数値を29年度から2448時間へ8時間分引き下げる計画という。

 ヤマト運輸によると、労働時間の目標は達成度合いに個人差があるものの、これまで段階的に引き下げられており、20年ほど前と比較すれば約200時間削減されている。ただ全産業の平均と比較するとまだ1割以上も多い水準で、労使間の協議を続けてきた。

 宅配便市場で5割近いシェアを誇るヤマトの荷物取扱数は27年度に約17億3千万個と過去最高を記録し、28年度はさらに8%増の約18億7千万個となる見通し。スマートフォンの普及に伴い、ネット通販事業者の荷物取り扱いが急増したほか、共働きの世帯数の拡大も再配達の増加につながっており、ドライバーなど従業員の労働環境を悪化させている。同社は早ければ3月中旬までに新たなサービスや業務の詳細を詰める。

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