開発されたシートは、体内で分解するプラスチック(生分解性プラスチック)を素材にした不織布。必要な長さに切り、移植して神経が回復したあと、体外に排出される。この素材を神経に巻きつけることが可能なほど柔軟にしたり、含ませたビタミンB12を長期間徐々に放出したりするなど工夫を重ねた。
このシートを坐骨神経を損傷したラットに移植する実験では、6週間後には、運動や感覚の機能、神経伝導速度について、いずれも正常ラットと同程度にまで回復した。組織を調べても、機能不全の指標である神経細胞の表面を覆う髄鞘(ずいしょう)の脱落する割合が減少していた
研究チームは「このシートは、末梢神経がつながっていながら障害がある患者に対し、これまでにない治療の手段になります。このシートの移植が可能とみられる手術は年間4万-5万件行われているだけに、臨床応用に向けて研究を進めていきたい」としている。
この成果は国際科学雑誌「アクタバイオマテリアリア」のオンライン版に掲載された。